デジタルアンプの時代 /コンシューマ化

サウンドコラム 音とオーディオの四方山 vol.18
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株式会社エーアールアイ / ARI
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音とオーディオの四方山

デジタルアンプの時代

デジタルアンプのコンシューマ化
18

このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

昨年(2003年5月掲載時)からデジタルアンプのコンシューマーでの採用が、シャープの1ビットオーディオの全面採用など目立つようになってきたように感じます(2000年前後からコンシューマーでも採用されてきていますが)

前回はPCMについてでしたが、今回はデジタルアンプの話題にしたいと思います。

デジタルアンプは、多くの場合、PWM(Pulse Width Modulation)の電力スイッチングで、高効率のパワー出力するアンプを指します。

デジタル信号からの電力スイッチングですから、アナログ入力は、デジタル信号に変換(A/D変化)してからパワー部に送られることになります。

   デジタル         アナログ
    入力 ┌───────┐ 出力
   ───→│デジタルアンプ│───→ スピーカ
   ───→│ PWM変換 │───→
       └───────┘
     オーバー  → PWM → アナログ
    サンプリング

デジタルアンプの良い所は、高効率で熱損失が非常に少なく、消費電力を低く押えることができる点と、デジタルで伝送された信号を出力ギリギリまでデジタルで処理することでノイズや歪などが少なくできる可能性が高い点です。

以前は、電力スイッチング回路の音質を高音質にすることが技術的に難しかったため、オーディオ分野ではPWMを利用したデジタルアンプは採用されないことが多かったのですが、現在は、技術的にもオーディオに利用できる高品位なレベルが実現され、コンシューマーのAV機器に搭載されることが多くなってきました。

小型化しやすく、低消費電力なのでポータブル機器や機器の小型化に向いていることも理由の1つです。

デジタルアンプは、D級アンプという呼称でも呼ばれますが、古くは、デジタルのDを使ってアナログのA級、B級アンプに対する、D級アンプ(音質がB級より劣る)というような冗談半分で呼ばれることもありましたが、現在ではメインストリームになろうかという技術です。

  ▼三洋電機とB&Oアイスパワー、
    D級デジタルアンプ用ICで包括的協業
    ASCII24 ニュース 2002年5月28日
    (ほぼ1年程前(2003年5月掲載時)ですね。他にも関連ニュースは
    ありますが...。)

    http://ascii24.com/news/i/tech/article/2002/05/28/636096-000.html

旧来から詳しい方などには、D級アンプという呼称は、あまり良いイメージがないように思いますが、最近でもD級アンプという言葉は使われていますので、マーケティング的には、以前のイメージが浸透していないということかもしれません(ASCII24の説明でも単にON/OFFするスイッチング動作で増幅すると説明になっています)

プロ・オーディオでは主流ということにはなっていませんが、音質の問題が無く受け入れられれば、大電力が必要な商用施設の拡声アンプなどは、むしろD級アンプが主流ということになる可能性が高いと予想されます。

先のASCII24の記事になっているD級アンプの事業では「2006年3月末で、デジタルアンプ市場においてシェア30%を目指す」とされています。

「デジタルアンプ市場」であって「アンプ市場」ではありませんが...D級が主流になると見込んでの発言だとは思います。

また、大出力のアンプが小型にできれば、デジタルスピーカが主流になる可能性も濃厚かと思います。

商用では伝送経路の損失が無視できませんから、伝送経路をデジタルにすることで、その配線や配管のコストも抑えることができます(電源が必要になりますが)

コンシューマーでもデジタルスピーカは(デジタル入力を持つ、デジタルアンプを内蔵したアクティブスピーカ、パワースピーカ)発売されていますが、デジタルスピーカが主か、デジタルアンプが主となるかは、コンシューマーでは、今の所、予見できない状態ではないでしょうか。

デジタルアンプのコンシューマ化

今年(2002年10月掲載時)は、デジタルアンプ、デジタルスピーカがコンシューマー価格帯の製品などで続々と採用されはじめた感があります。

  ▼デジタルアンプ「DEUS」搭載のMDシステム2機種
    日本ビクター2002年10月15日 報道発表
    http://www.jvc-victor.co.jp/products/compo/SS-NT1MD.html

  ▼高音質デジタルアンプ「DEUS」を開発
    日本ビクター2002年10月15日 報道発表
    http://www.jvc-victor.co.jp/products/others/DEUS.html

  ▼エディロール、2.1chスピーカーや光デジタル装備の
    パワードスピーカーなど
    インプレスAVウォッチ2002年10月9日
    http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20021009/edirol.htm

  ▼ローランド、光デジタル入力を備えたアンプ内蔵スピーカーなど
    インプレスAVウォッチ2002年4月24日
    http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20010424/roland.htm

  ▼デジタルアンプ搭載マイクロCDシステム
    TEAC製品情報 (デジタルアンプの情報はよくわかりませんが)
    http://www.teac.co.jp/av/TEAC_AMP/crl600.html

  ▼ケンウッド、デジタルアンプ採用のポータブルMDプレーヤー
    インプレスAVウォッチ2002年9月5日
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20020905/kenwood3.htm

  ▼シャープ、デジタルアンプ採用の「1ビットシアターシステム」第2弾
    インプレスAVウォッチ2002年9月2日
    http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20020902/sharp2.htm

今までは、デジタルオーディオといっても、アンプの以前でアナログ信号に変換しているわけですが、デジタルアンプ、デジタルスピーカが採用されることによって、最終段階までデジタル信号のまま伝送されることになります(サンプリング周波数変換などの問題はさておき)

デジタルアンプでは、デジタル伝送の問題とアンプの電力効率の改善ができるため、古くから注目されている技術です。

アナログパワーアンプのA級アンプ、B級アンプという呼称から、創生期にはS/N性能などが良くなかったこととデジタルをもじってD級アンプと呼ばれた経過がありますが(今でもD級アンプの呼称はし使用されています)、現在は、PWM技術などの進歩によってHi-Fiオーディオとして利用できるに至っています。

ASCII24の記事によると、先月9月2日のシャープの製品記者発表会で、シャープ専務取締役AVシステム事業本部長の濱野稔重氏は、

「音の出るすべての機器に1bitデジタルアンプを搭載する」

と発言されているようです。

  ▼シャープ、1bitデジタルアンプ搭載の
    ポータブルMDはじめ5製品を発表──チップの外販も
    ASCII24 2002年9月2日
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2002/09/02/638325-000.html

シャープは、以前から1bitデジタルアンプをハイエンド機や外販チップなどて展開していましたが、いよいよ、コンシューマ製品に大々的に投入ということになるようですね(全てだそうです。シャープらしい発言ですね)

サウンドコラム 音響とオーディオの四方山

音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記

「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。

サウンドコラム 音とオーディオの四方山

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.41〜50

3D音響システムとスピーカ・アレイ Iosonoとサラウンド / プレーヤーとメディアのハイブリッド化(BD,HD DVD,DualDisk) / デジタルアンプとデジタルスピーカ(D級アンプと消費電力, 特徴-シンプルな構成- パワーアンプと伝送 -効率,発熱,クロスオーバー,デジタルスピーカの特徴) / 自衛隊の大砲を使ったコンサート / コーデックキラー(音声圧縮エンコードとノイズ)

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30地上デジタルTV 開始とInter BEE
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28機械の音のリアクション
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27音質?デザイン?
サウンドコラム 27
26米国のCD市場の変化とCCCD
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25録音テープの「肉声」
サウンドコラム 25
24音の記憶
サウンドコラム 24
23過去と周期と予想
サウンドコラム 23
22魔法の杖と音声認識の確率
自動音場調整AVアンプのレビュー
21音響冷却方式と水冷式
サウンドコラム 21

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.11〜20

20家庭の音場補正
サウンドコラム 20
19オーディオ機器への音楽配信
サウンドコラム 19
18デジタルアンプの時代
デジタルアンプのコンシューマ化
17PCMはCDと同じ?
サウンドコラム 17
16テクノロジーと本質の視点
デジタル・オーディオは高音質か?
15デジタルTVの双方向性
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14アカデミー音響賞、音響効果賞
サウンドコラム 14
13手軽に音響測定
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12音質は確実に落ちている?
サウンドコラム 12
11CDを再生できないCDプレーヤー
CCCD(Copy Control CD)

サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.01〜10

デジタルオーディオと記録 DVD製造者認識コード(Disc ID) / CD誤り訂正と音質、ピット、誤り訂正 / CDリッピングで音質向上? / パソコンのサウンド機能 / 人間の耳−最も優れた音のセンサー(精密測定用マイク, カクテルパーティー効果) / パソコンの静音設計とノイズ / ホームAVサーバー / TV放送の音声と帯域 / パソコンVS家電 - データ交換 / DVDの評価表現「劇場上映時と」

サウンドコラム 音響関連イメージ

サウンドコラム 音響測定編

音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性

「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。

サウンドコラム 音響測定編

サウンドコラム 音響測定編 音圧分布

音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ

サウンドコラム 音響測定編 周波数特性

周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生

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Inter BEE 2014 参考出品の報告 - 幕張メッセ 2014年11月19日(水)〜21日(金)

放送用音声比較装置 ABE-2100Cを国際放送機器展に参考出展しました。 ご来場ありがとうございました。

Inter BEE 2014(国際放送機器展) 放送用音声比較装置 ABE-2100C (Sound Comparator) 参考出展の報告

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